「3DOエミュレータの実行には実機BIOSROMが必要です」
各所のエミュレータサイトにさらっと書かれている一文ですが、海外フォーラムを探してもロクに情報がヒットせず。
ドライブエミュレータを使ってUSBダンプする方法っぽいのはありましたが、BIOSを吸い出すためだけに要りもしないハードに何万もぶっ込むのはさすがに……。
というわけで、人柱になってみました。
・3DO実機の入手
中古でまともに動く本体を買うと2022年3月現在で結構なお値段がするので、ヤフオクやらメルカリやらで起動不可ジャンクを激安入手しましょう。
この後の作業で完全に死ぬ可能性も高いですし。
・3DOを分解とマザーボードの確認。
プラスドライバー1本で簡単にバラせるので説明不要。
電池近くにある32ピンのROMチップ DA838F1H3TJ がBIOSROMです。
真上に漢字ROMがありますが、これは放置でOKです(詳細は後述)。
・BIOSROMを剥がす!
私はGootの半田吸い取り機を使いましたが、超大変なので頑張るべし。
盛り半田したり、引っ張ったりアレコレしてチップが取れたら成功です。
・BIOSROMの配線ピッチを1.27→2.54mmに変換
私の使っているROMプログラマTOP3000では1.27mmのROMを読めないので、マルツあたりでサンハヤト32P-SOD-127-600を購入し、剥がしたBIOSROMを半田付けしました。
変換ソケットを持っている人はこんな遠回りなコトをしなくていいです。
・ROMプログラマでBIOSダンプ
ウチの記事のコメント欄で教えていただいた情報をもとに、29F040をアレンジしたピンアサインであることが特定できたので、ブレッドボードジャンパを組み合わせて空中配線でアドレスバスを立てながらダンプしました。
具体的にはROMプログラマでプロファイル29F040互換系ROMを選び、A18をPin1に落としてtop.binを保存し、A19をVCCへ接続してbottom.binに保存。
それらを下記コマンドでバイナリ結合しました。
copy /b top.bin+bottom.bin 3do-mybios.bin
※わかりにくいけど画像左のチップは29F040、中央は3DO BIOSのもの。
画像右はPin31の脚を浮かせてPin1へ繋いで前半ブロックをダンプしている様子。
・エミュレータで動作テスト
今のところ、完成度が高く設定も簡単なのは4DOです。
File→Choose BIOS Romで前述の 3do-mybios.bin を選んで起動し、隕石ドーンなタイトルロゴが表示されれば成功。
ハードオフで2200円で売っていたサンプル版スパ2Xを実行するとこんな感じ。
ちなみにゲームCDのISOダンプにはInfraRecorderを使いました。
・さらに漢字ROMを吸い出す
3DO本体から44ピンROMを剥がして……と思いきや、こちらのサイトに「ソードアンドソーサリー」のゲームディスクから漢字ROMを抽出できる旨が書かれていました。
emu-landの[3DO Commander v0.99]の名前の右下にあるQRコードっぽいアイコンの右にあるЗагрузитьをクリックしてダウンロード、rarファイルを展開。
3DO Commander 099.exeを実行したらASPIレイヤーのエラーを吐くので無視して、事前にダンプしたソードアンドソーサリーのISOイメージを選択。
/System/Graphics/Fonts/JFONTROMをクリック→[Extract >>>]ボタン押下。
これをJFONTROM.romなどにリネームし、4DOのFile→Choose BIOS Rom 2で選べば、漢字ROMを必要とするゲームソフトが正常動作するようになります。
・最後に
以上が3DOエミュレータを動作させるために最低限必要な手順です。
エミュレータ解説サイト運営に携わる皆様方には、是非とも同じプロセスを実践し、BIOSROMダンプの大変さを身をもって知っていただくのが良いかと存じます。